🪙 ローマ帝国と“銀のコイン”
むかし、ローマ帝国は世界でいちばん強い国でした。
兵士は強く、道や水道も整い、たくさんの国を支配していました。
そのローマで使われていたのが「デナリウス銀貨」というお金です。
銀のきれいなコインで、パンを買ったり、兵士のお給料を払ったりするために使われていました。
⚔️ 戦争とぜいたくが、国をむしばむ
でもローマ帝国がどんどん大きくなるにつれて、
戦争にかかるお金や、えらい人たちのぜいたくがふえていきました。
国のお金が足りなくなったローマの政府は、
「銀を少し減らしても、見た目は同じコインを作ればいいじゃないか」
と考えてしまったのです。
💀 魔王「デナリウス・デモニウム」あらわる
こうして銀の量を減らしたコインをどんどん作るうちに、
ローマのお金はどんどん価値を失っていきました。
これが“通貨の魔王”──
デナリウス・デモニウム の誕生です。
魔王の力によって、
パンや服、家のねだんが毎年のように上がっていきます。
たとえば、
昔は1枚のコインで買えたパンが、
数年後には100枚のコインでも足りなくなりました。
🧩 人々の生活がこわれていく
お金を持っていても物が買えない。
人々はついにコインを信用しなくなり、
「物と物を交換する暮らし」に戻ってしまいました。
パンとぶどう酒を物々交換するような生活です。
ローマの経済(お金のめぐり)は止まり、
国の力もどんどん弱くなっていきました。
🏛 皇帝の“最後の魔法”
ローマの皇帝ディオクレティアヌスは、
「もう物の値段を上げちゃダメ!」という命令を出しました。
これは「価格統制令」と呼ばれています。
けれども、人々の信頼を失ったお金はもう元に戻らず、
魔王を完全に封じることはできませんでした。
💡 この出来事が教えてくれること
お金は「銀」や「紙」ではなく、人の信頼でできている。
いくら立派な国でも、
信頼をなくせば経済はこわれてしまう。
これは2000年前のローマ帝国の話ですが、
今の世界にも同じことが言えます。
お金をたくさん作りすぎると、
インフレ(物の値段がどんどん上がること) が起き、
私たちの暮らしを苦しめるかもしれません。
💬 勇者の言葉
「お金はただの金属や紙ではない。
みんなの“信じる力”があるからこそ、価値が生まれる。」